あなたの子供は、秀才型か、それとも努力型か?
ここでは、子供の能力という問題を扱っているので、中学受験生の父兄にとっては、とりわけ関心が強いと思われる、「学力を伸ばすにはどうしたらよいか?」というテーマにも少しふれてみたいと思う。
私は、東大に入るには、瞬発力(頭の切れ)よりも、持久力(努力)が必要であると考えています。
私は、いわゆる「勉強のできる子」には、下記のの四つのタイプがあると考えている。
この四つの類型の中では、タイプC・Dが最も一般的であり、タイプA・B、とりわけタイプAは少ない。
| タイプA | 瞬発力もあるが、持久力もある |
|---|---|
| タイプB | 瞬発力はあるが、持久力にやや欠ける |
| タイプC | 瞬発力は、それほどでもないが、持久力がある |
| タイプD | 瞬発力はそれほどでもないし、持久力に欠ける |
東京大学には、タイプCが最も多く、それに、少しばかりのタイプAがいる。
タイプB・Dは、まず絶対にいない。
東大に入るためには、何よりも持久力が特に必要だからである。
それに対して、慶応や早稲田などの一流私大ほ、タイプB・Cが中心である。
タイプDは、ほとんどいない。
タイプBについては、持久力が足りなくても、慶応や早稲田の受験科目の少ないのをうまく利用して、瞬発力を生かして、要領よく合格水準にたどりつくわけである。
あなたの子供は、どのタイプに属するだろうか?
属するタイプによって、今後の勉強方針も異なってくるので、正しい把握が必要である。
努力型なら、「ポイントをつかむ力」を鍛え抜け!
さて、あなたの子供のタイプが明らかになったとして、では、それを今後の勉強にどう生かしてゆけばよいだろうか?
仮に、タイプCであったとして、では、努力しさえすれば、東大や早稲田・慶応に合格できるのだろうか?残念ながら、世の中そう甘くはない。
はたから見ていて、ほんとうに気の毒になるくらい熱心に勉強をつづけても、一浪、二浪したあげく、三流大学にしか入らないなどというのは、日常茶飯である。
タイプCの子供が、タイプA並みに東大に入ったり、タイプB並みに早稲田・慶応に入れるためには、条件がある。
その条件とは何か?
それは、単に一所懸命に勉強するだけでなく、それを通じて、「ポイントをつかむ力」を身につけるということなのである。
タイプAやBの「瞬発力」というのは、勉強に即して言えば、それは、「ポイントをつかむ力」である。
教師の話であれ、教科書・参考書の記述であれ、人間が伝えようとするメッセージを聞き、あるいは見たときに、その中から最も重要なポイントをすばやく見抜き、理解する力なのである。
そうした、タイプAやBにとっては、ほとんど先天的な能力とも言える「ポイントをつかむ力」を努力で身につけることを通じて初めて、タイプCの子は、タイプAやB並みの一流大学に入れるのである。
「ポイントをつかむ力」のない子は、5倍の時間と労力が必要になる!
では、「ポイントをつかむ力」の有無によって、どの程度の差が生じるのだろうか?
医学博士で、速読の大家として知られる斉藤英治氏は、『全脳速読法』(鹿済堂出版) の中で、「一冊の本の2割の中に、必要な情報の8割が含まれている」と述べている。
これを「二・八の法則」(にっぱちのほうそく)と言うのだそうだが、
何も本とは限らず、教師の話であれ、何であれ、人間が伝えようとするメッセージには、すべて、この法則が成り立つのではないだろうか?
そして、この「2割」がどこにあるかを鋭く見抜く力こそが「ポイントをつかむ力」なのである。
いま、「ポイントをつかむ力」のある子をY君、ない子をZ君としよう。
この2人が、100時間勉強する。
その間に、マスターするのに通常10時間かかる本を何冊ずつ物にできるか?
Z君の場合は、きわめて常識的に、10冊物にする。
しかも、どの本も、最初から最後まで同じような力配分で読むために、途中、注意力散漫になった部分もあり、習熟度としては、8割となる。
10冊の本を8割物にしたということだ。
ところが、Y君の場合、ポイントをつかむ力があるので、1冊の本につき2時間程度で必要な情報の8割を得てしまう。
100時間の間に、実に50冊を物にしてしまうのである。
50冊の本を8割程度物にしたということだ。
Y君は重要なポイントについて、Z君の5倍もつかんだことになる。
逆に言えば、Z君は、Y君の5倍勉強しない限りY君には追いつけないということだ。
しかし、そんなことは、現実には不可能であろう。
Y君であれ、Z君であれ、与えられる時間には限りがあり、その中で、5倍の時間差をつけることなど考えられないからである。
「ポイントをつかむ力」身につけるには、どうしたらよいか?
結局、「ポイントをつかむ力」のない子は、ただやみくもにガリ勉しても、全然効果がないわけであり、
地道な勉強を通じて、「ポイントをつかむ力」をしっかり身につけることが、絶対に必要なのである。
では、どうすればよいか?タイプCや、タイプDの子供には、どんな「救いの道」が残っているのか?
「ポイントをつかむ力」とは、もう何度も述べているように、「文章であれ、人の話であれ、人間が伝えようとするメッセージに2割程度含まれる、最も重要なポイントをすばやく見抜き、理解する能力」である。
とすれば、そういう練習をすればよいのである。
文章であれば、その内容が、科学論文であれ、随筆であれ、歴史書であれ、小説であれ、一定の時間内に要旨をつかむ練習をすればよいのである。
なにも原稿用紙に書く必要はない。
文章を読ませたら、ただちに、それを伏せ、何が書いてあったか、そのポイントを口で言わせてもよいのである。
また、人の話の場合であれば、テレビのニュースでも見させて、終わったときに、そのポイントを解説させるのでもよい。
ニュースでなくてもよい。
ドラマでもよいし、情報番組でもよい。
かたく考える必要など少しもない。
材料は、そこらじゅうに、ゴロゴロしているのである。
人間が伝えようとするメッセージの要旨をつかむ訓練をすることによって、学校や塾での授業の聞き方も、全然違ってくるはずだし、教科書・参考書のマスター度も、まるで違ってくるはずだ。
私は、タイプCの子供であっても、努力によって、東大にも入れるし、実際、東大生には、タイプCが最も多いと言ったが、
東大に入るような、あるいは、慶応・早稲田に入るようなタイプCの子というのは、その勉強のプロセスにおいて、意識的であれ、無意識的であれ、ポイントをつかむ力を身につけていった子供なのである。
ただガリ勉を繰り返すだけで、ポイントをつかむ力を身につけることのなかった子は、結局ただのガリ勉として、三、四流の大学に入って終わってしまうのである。
中学選択の基準として、夏休みや冬休みに、何冊かの本を読ませて、その要旨をまとめさせたり、それを踏まえてレポートを書かせる学校を選ぶというのも賢明だろう。
そうした作業の積み重ねによって、ポイントをつかむ力は高まってゆくからである。
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