子供の能力・特性・価値観を把握する
中国古代の戦略家孫子の言葉に、「彼を知り、己れを知れば、百戦して危うからず」というのがある。
自己実現のための将来ビジョンを作るにしても、実社会の環境変化をとらえるとともに、内部環境、この場合、とりわけ子供の能力・特性・価値観をつかんでいることが肝要となる。
あなたは、子供の「人生脚本」をつかんでいるか?
「人生脚本」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
どんな子供でも、12才までに、能力・特性・価値観の基礎が固まってしまうのである。
先天的に生まれ持った素質としての能力・特性・価値観に、生まれてから12才になるまでの間の環境とのかかわり方がプラスされて、本人の意思にかかわりなく、その子の、その後の人生のおおまかな方向が決まってしまうのである。
これを「人生脚本」と言う。
あなたの子供が、現在小学校の高学年であるとすれば、そろそろ「人生脚本」が、固まってきていることだろう。
これから先、なしうることは、社会環境の変化に対応して、能力・特性・価値観の雛型の、どの部分をより強め、どの部分をカバーしてゆくかということだけなのである。
成長するとともに、周囲が驚くような変貌をとげたように見えることがあるのは、ただ単に、周囲の人間が、その子の「人生脚本」をつかんでいなかったからにすぎないのである。
「子供には、無限の可能性があるから」と称して、将来の方向を限定することを嫌う人も多いが、
それは、単に、子供に無限の夢を託していたい夢想家か、すでにでき上がっている能力・特性・価値観の基礎を読みとることがおっくうな横着者の、どちらかである。
子供の中学受験を考えるということは、すなわち、社会環境の変化を読みとると同時に、子供の「人生脚本」をしっかり読みとって、将来の自己実現のあり方を思い描き、それを達成する手段として、どういう中学に進学したらよいかを考えるということなのである。
さあ、あなたはいったい、どの程度自分の子供の「人生脚本」をつかんでいるだろうか?
「人生脚本」をどうやってつかむか?
「ジョハリの窓」というのがある。
これは、人間に対する認識のあり方を、四つの窓にたとえて表現したものである。
つまり、四つの窓をあけることによって、子供の「人生脚本」も、その全貌を明らかにするのである。
1つめの窓は、自分自身よく知っているし、他人から見ても明らかだという自分自身の姿である。
姿とは、能力であり、特性であり、価値観であり、そしてまた、表向きの顔である。
2つめの窓は、自分自身は、よく知っているのだが、他人には見えていない、あるいは見せていない自分自身の姿、または本音である。
3つめの窓は、自分自身では、気づいていないのだが、他人の目には明らかな自分の姿、つまり癖である。
4つめの窓は、自分自身でも気がついていないし、他人の目にも見えていない自分の姿である。
子供の「人生脚本」を的確にとらえるためには、この4つの窓をしっかり、つかむ必要がある。
1は、子供自身と、父親・母親・兄弟姉妹・教師・友人知人などの複数評価によって、比較的容易に、つかむことができるだろう。
2は、周囲の人間には見えにくい部分である。
子供自身に語らせる環境を作ると同時に、さまざまなチャンスをとらえて、つかみとる努力をしなければならない。
なぜなら、この部分に隠れている能力・特性・価値観が、将来大きく花開く可能性があって、それに逆らうような方向づけをしてはならないからである。
3は、比較的容易につかめる部分であり、父親・母親・兄弟姉妹・教師・友人知人などの複数評価によって、とらえることができるだろう。
4は、2同様、いや、それ以上にとらえにくい部分であるが、将来への可能性を秘めている場合があり、父親・母親・兄弟姉妹・教師・友人知人など、周囲にいる複数の人物が、絶えずアンテナを張っている必要があるだろう。
1、2、3、4を極力正確に把握することを通じて、今後の成長過程で、どの部分を特に伸ばし、そして、どの部分をカバーするようにすべきかを見定めてゆかなければいけない。
子供の「人生脚本」を把握したとは、すなわち、よい材料も悪い材料も、すべて手元にそろったということであり、
それをどう生かすかは、すべてあなたしだいということなのである。
「人生脚本」は、いかに生かすべきか?
さて、ジョハリの四つの窓をあけ放って、子供の「人生脚本」の全貌を明らかにしたとしても、その生かし方がわからなければ、何にもならない。
では、どう生かせばいいのだろうか?
結論から言えば、第1番目として、
「子供の持ち味の中で、勝負すべき部分はどこで、勝負すべきでない部分はどこなのか?」
という視点で、「人生脚本」をとらえ直すことである。
たとえば、集団・組織の中でリーダーシップを発揮してゆくタイプの人もいれば、人にものを教えるのが特別うまい人もいるだろう。
あるいは、文章を書くことに喜びを感じる人もいるかもしれない。
あるいはまた、パソコン・ファミコンについて語らせたらピカイチの人や・競馬の予想が特技だという人もいるだろう。
このように、どんなことでもよいから、子供の持ち味の中で、人とくらべて秀でている部分はどこか、よい意味で、自分の子供を特徴づけるものは何かがわかっているということだ。
逆に、集団の中では孤立しやすかったり、忍耐力を要するこまかい作業をすると気がめいってまちがいだらけになってしまう。
あるいは、指示されなければ・何もできないとか、論理的思考がまるでダメなど、子供の持ち味の中でも、他と比較して、マイナスの部分もわかっているということなのである。
このように、子供の「強み」と「弱み」を熟知していることが、成功への条件になることをしっかり認識しなければいけない。
「人生脚本」の生かし方の第2番目としては、「強み」を生かせば成功するが、「弱み」を前面に出せば失敗することを認識するということである。
一見、あたりまえのように見えて、実は、きわめて重要なことなのである。
いくら、子供の「強み」や「弱み」を知っていても、それを、実地に活用することを知らなければ、何にもならない。
たとえば、「強み」でないことを知っていながら、さまざまな理由で、子供に無理をさせてしまうことも多いのである。
協調性がなく、組織の中では孤立するようなタイプの子供に、「東大法学部そして一流官庁へ」というコースを歩ませることもあろう。
逆に、大組織の中でこそ真価を発揮するようなタイプの子供に、「文学部から文筆家へ」というコースを歩ませてしまうこともある。
このような、子供の持ち味に逆らったやり方は、本人の猛烈な努力によって、ある程度は成果を上げても、やはり、大きな無理が伴うものであり、「強み」を発揮している人との競争では勝算は薄いと言わねばならない。
孫子の兵法において、「彼を知り、己れを知れば、百戦して危うからず」と言っても、相手の状況と、自分の状況さえ知っていれば、それだけで連戦連勝になるというわけでは、けっしてない。
そうした状況をうまく利用すれば成功するが、利用しなければ失敗するのだということをしっかり認識し、成功に導くよう努めなければいけないということである。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:子供がつぶれない為の勉強法、学習法
トラックバック(0)
http://yg-away.biz/mt/mt-tb.cgi/438

