子どもに言葉をかけるときは「受け手の論理」を考える
子供のやる気を起こすには、親の態度が非常に大切ですが忘れてはいけないものが、「受け手の論理」ということです。
つまり褒めたり叱ったり相手に何か言葉をかけるとき、それがほんとうに機能するか否かは、受け手がそれをどう受け止めたかで決まるということです。
たとえば教師が、何かの罰として、生徒にグラウンドを走らせたとします。
先生としてはその罰で生徒に反省を促したつもりでも、当の生徒は、「授業をしないですんだ」というように、報酬として受け止めてしまう場合があります。
同じように、ほめるにしても、受け手の子どもにどのように機能しているかということをチェックすることがだいじです。
学習の話でいえば、勉強の楽しさに気づきはじめた子どもには、ステップ・バイ・ステップで、徐々に難しい課題を与えます。
その子の状態を把握せずに、いつまでもやさしい問題ばかりを与えていれば、子どもはわかる喜びもなくなっていきます。
逆に、やる気はあってもその問題でつまずくようならば、やさしい問題に戻って基礎をやり直せば、満足感をもってつぎのステップに進むことができます。
このように、つねに「受け手の論理」を意識しなくてはいけません。
子ども自身に目標を立てさせること
それからもう一つ、やる気を起こさせるうえで問題なのは、大人が自分の目標を子どもに直接与えてしまう例が多いことです。
この学年ならこれぐらいできなくてはいけないと、親が勝手に決めて与えるのです。
基本になるのは、現在の子どもの状態を正確に把握することで、つぎに、何をすればいいかという具体的で身近な目標を設定することです。
最終的には、どこそこの学校にはいるという大きな目標があったとしても、日々の学習を支えているのは、より具体的で身近な目標です。
それは「いまの子どもの状態プラスアルファ」ということになります。
ただ、まわりに影響されて、「あの子ができるのだから、うちの子もこれくらいはできるはず」というようになりがちなので、気をつけなければなりません。
具体的な学習目標というのは、子ども自身に立てさせたほうがいいでしょう。
ただ、いままで満足した経験のない子は、つぎのステップの目標を立てられないのです。
そういうときは、親のアドバイスが必要です。
つまり、なるべく子ども本人が計画を立てて、自分自身の目標をもったほうがいいということですね。
ただ、それができない場合は、親の適切なアドバイスが必要になるけれども、その際、親の考、妄押しつけないようにしなければいけないわけですね。
はじめは身近な目標を立てさせる
たとえば、子どもの立てた目標が十分できる内容なら、もう1ランク上げるように言います。
反対に、いきなり大きな目標を立てる子もいます。
これはおうおうにして親の影響を受けている場合が多いのですが、失敗する可能性が高いですから、下げるようにアドバイスすることが必要です。
そのときには、ただ下げるように言うのではなく、「これをするにはどうすればよいのか」という具体的な方法を教えることがだいじです。
大学生ぐらいになっても、自分の目標をもてない人が、けっこういます。
ある22、3歳の青年ですが、将来何になりたいかという質問に、「僕は有名人になりたい」と答えるのです。
「有名になってどうするのか」と尋ねても、それ以上具体的な考えはもっていません。
「なぜ有名になることがいけないのか」と逆に怪訝そうな顔をするのです。
おそらくそれまでに、すこしずつ目標を立てて達成するという経験をしてこなかったのでしょう。
大きな目標をもつことはたいせつだと思います。
ただそれ以上にたいせつなのは、その大きな目標に到達するために、どのような身近な目標を立てるかということです。
そういうことのできる人は、社会に出ても仕事のできる人ですよね。
すこしずつ小さな目標を達成しながら、大きな目標に向かってどんどんつき進んで行けます。
身近な目標をもたず、大きな目標に振り回されている人は、失敗体験がひじょうに多いのが特徴です。
逆に、身近な目標を立てられる人というのは、日々の活動の中で満足を感じる度合いが高く、同時に、内からのやる気を育てている人でもあります。
大きな目標だけにこだわる人にとっては、日々の生活そのものが失敗感でいっぱいなんですね。
これはつまらないことです。
当然やる気もなくなります。
精神的にも不安定になってきます。
そうした失敗体験を多くもっていると、できることまでできなくなってきます。
やるまえから、できないのではないかと思えて不安になってきます。
そして、結局やろうとしなくなってしまうのです。
子どもを見るときは、親もプラス志向の発想をする
やる気を育てるには、親の態度がたいせつだという話をしましたが、親が「ゼロからの出発」ではなく、「マイナスからの出発」というように発想を変えてみてほしいと思います。
できなくて当たり前というように、親が視点を変えて見れば、子どもがいろいろなやる気を秘めていることに気がつくはずです。
「根気がなくて、10分と机に向かって勉強したことがない」という子でも、好きなプラモデルを作らせたら、一時間でも夢中になっています。
ということは、一時間ものごとに集中できる力をもっていることになるのです。
そのことは、実際に勉強を教えていてもよく感じることです。
教師のもっていき方しだいで、ふだんよく遊んでいる子は、一時間でも二時間でも集中できます。
同じことをしても、できない子もいます。
そうした子は休み時間でも遊べない子です。
一人でじっとしています。
授業に集中できる子は、休み時間には、友だちといろいろ工夫して思い切り遊んでいます。
そのうちに、何かのきっかけで自分で勉強しだすようになる子が多いようです。
ですから、一時間集中して遊んでいる子が10分しか勉強していなかったとしても、叱らずに「がんばっているね」と声をかけてあげてほしいと思います。
否定的な見方でなく、プラス志向でということです。
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