父親も家庭に参加すべきである
父親は家庭をいつでも手に入る憩いの場として考えがちな傾向があります。
しかし憩いの場は決して無条件で与えられるものではありません。
父親も憩いの場を作るために、家庭に参加する必要があるのです。
権威を傘に、子ども達を自分の思うままに支配することでなく、また、自分は関係ないと無関心さをさらけ出すことでもなく、
家族のメンバーとしての居場所を確認し、皆が憩えるような協力の場を、父親のリーダーシップで作っていかなければならないのです。
権威主義的な父親は命令を平気でします。
リーダーシップの父親は何かを家族のために提案します。
お互いを尊敬している人間関係では、命令するということはまずありません。
提案、話し合いが子どもとの良い関係を作る、一番いい方法なのです。
当然のことながら提案は、場合によっては子ども達に受け入れられないかも知れません。
提案とは相手に断る自由を認めることでもあるからです。
父親の提案が断られたからといって、父親の権威が否定されたわけでもないのです。
受け入れられるように提案を修正するか、次回の機会を待つかを決めればよいのです。
同様に、子どもの提案に父親が「ノー」と言うこともあるのです。
ただし子どもを納得させる、論理的な「ノー」という理由が必要なだけなのです。
そうであれば子どもも「ノー」と言われたことで、自分が否定されたのではないことを学びます。
丁寧な子どもとの話し合いが必要になります。お互いが信頼できる父〜子関係でなければならないのです。
注意してほしいのは、信頼とは親の期待通りに子どもがなってくれることではないのです。
子どものありようを、そのまま受け入れることから、子どもへの信頼は始まるのです。
そして普段から子どもとよく付き合い、自分のことをお父さんはよく知ってくれているという気持ちを子どもが持つことが大切なのです。
また子どものことをよく知るためには、父親自身のことも、子どもに知らせなければならないと思います。
かつての父親のように、働く姿を子どもに見せることは難しい時代です。
しかし、仕事について、父の考えについて、子どもと話すことは可能です。
お互いに知り合うことが相互尊敬の基本になるのです。
父親は勇気を出して自分の生き方を子どもに正直に伝えてほしいのです。
うまくいったことも、そうでなかったことも包み隠さず話してほしいのです。
ただし子どもとべたべたし合うことは、尊敬し合うこととは違います。
べたべたした関係は、自立した人間の協力関係でなく、お互いに依存を必要としている、自立することの不安を抱えた関係であることが多いのです。
子どもは両親の仲から人間関係を学ぶ
父親が子どもに影響を与えるためには、父〜子の関係だけでなく、父〜母の関係、すなわち夫婦の関係も大切です。
夫婦の結婚生活がうまくいっていないことは、子どもにとっても大きなピンチになります。
夫婦がもめているときは、子どもは手の込んだやり方で親と付き合うようになるものです。
子どもは親のどちらの立場も支持できないものです。
無意識的に問題を起こすことによって、自分に親の関心を引きつけ、夫婦の危機をひとまず延期させる子どももいます。
夫婦がもめているときに、父親は子どもに良い影響を与えることができません。
Wさん一七歳。
父五一歳、母四七歳、妹一四歳の四人家族の例です。
Wさんは高校に入る頃から何度も何度も手を洗わないと気がすまない洗浄強迫という行為がありました。
彼女が高校に入る頃に、父の女性問題で夫婦の間が険悪になっていたのです。
Wさんは、夜、両親の寝室の前を通ったときに、父から離婚という言葉が出ているのを聞いてしまいました。
ひどいショックを受けましたが、それを母親にも言うことができず、一人で悶々と悩んでいました。
そんなとき気がつくと何回も手を洗っている自分がいたのです。
初めは気にしなかった親達も一時間ほど手を洗っている娘を見て心配し出しました。
いくらかの経過があった後に、医者にかかることになりました。
この頃には父も協力的で母と一緒に病院について行ったりしてくれました。
カウンセリングを受けて比較的症状は軽減しました。
すると再び夫婦の仲が険悪になったのです。
Wさんの症状もまた悪くなりました。
このような経過が何度か続いたあとで、カウンセラーは家族療法と呼ばれる新しい方法に切り替えました。
家族の協力を作り上げるように面接を工夫したのです。
夫婦の和解が成立した頃から、Wさんの洗浄強迫はなくなりました。
子どもは親から最初の人との関係のあり方を学ぶのです。
両親が協力的であれば、人と人との関係が協力的であることを学ぶことができます。
反対に両親の関係が対立的、敵対的であれば、人との関係を対立的、敵対的と考えてしまうでしょう。
夫婦が協力的であることが、子どもを協力的な人間にするもっとも大切なことなのです。-----
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