人格評価をやめて行動評価を
私達は子どもを評価するときに何の気なしに、人格評価を行っています。
「君は偉いね」とか、「やさしい子だね」という言い方は、相手の人格や人柄をほめている言い方です。
この言い方は気をつけないと、子どもをうぬぼれの強い子どもにしてしまう可能性があります。
小学校五年生の君江(仮名)さんが廊下に落ちていたごみを拾ってごみ箱に捨てました。
それを見ていた担任の先生は、君江さんを
「廊下に落ちているごみを拾って捨ててくれて、君はいい子だね」
とほめました。
それまであまりほめられることのなかった君江さんにとって、先生にほめられたのはとてもうれしいことでした。
それから君江さんは学校中のごみを拾って歩くようになりました。
そしてごみを捨てると、先生のところにやってきて、「私ごみ捨てたよ」と報告にくるのです。
その報告も、暗に「いい子だよ」とほめてもらいたいそぶりを感じさせるものでした。
先生も君江さんの要求に応えて「君はいい子だよ」とほめていました。
ところが学校のどこにもごみが落ちていなくなると、君江さんは自分で鼻紙を捨てて、それを拾い出したのです。
自分がいい子だと言われることが、彼女の行動の目標になっていったのです。
このように、人格評価は自分をうぬぼれさせたり、自分の価値を他人に決めてもらおうとする子どもになっていくこともあるのです。
私達が育てなければならないのは、人格をほめられることに喜びを感じる子どもではなく、行動を評価されることを喜ぶ子どもです。
人格はどんな子どもでもそれだけで尊敬されるものです。
どちらの子どもの人格が優れているかを、比較することは間違っています。
人格とは人の命でもあるのです。
人の命に比較はありません。
それでは私達はどういうふうに子どもを評価したらいいのでしょうか。
行動を評価するようにしましょう。
行動には育ててほしい行動と、やめてもらいたい行動があります。
私達は、子どもの望ましい行動をしっかりと評価してほしいと考えています。
たとえばこうです。
「義彦、妹におもちゃ貸してあげておまえは良い子だね」
というほめ方は人格の評価です。
「義彦、妹におもちゃ貸してくれてありがとう。お母さんもうれしいな」。
こういう言い方が行動を評価することになります。
行動を評価された子どもは「そうか、私でもいいことができるんだ」と、
「自分にも望ましい行動が取れるし、そういう行動を取れば、お母さんも自分を認めてくれるのだ」
という風に、自分に自信を持っていくのです。
子どもの強さとは、頭でいろいろなことを考えるのではなく、具体的な場面で、実際の行動を取れるかどうかで決まってくるのです。
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