親の成長がなくては、子どもの成長もない
子育ての成功って何でしょうか。
一流の大学へ入学することでしょうか。
一流企業の社員になることでしょうか。
やさしい相手と我が子が結婚することでしょうか。
それとも我が子が自分の老後の面倒を見てくれるということでしょうか。
もちろん、これらは皆成功した子育てかも知れません。
というより失敗した子育てってどんなものでしょうか。
私がお会いしている多くのお母さん方は、子育てに何らかの悩みを持っています。
そしてほとんどのお母さん達は、自分の子育てを失敗だと考えています。
小学校六年生の宏一(仮名)君のお母さんです。
宏一君は少しばかり元気がありすぎる子どもです。
学校でも先生の言うことをあまり聞かず、けんかが絶えません。
ある日女の子をいじめていました。
先生に見つかり強く叱られました。
お母さんが相談にきました。
いままでの経過を聞いていくうちにお母さんは、自分の育て方がいけなかったと涙を流しながら話し出しました。
家庭の事情で父方の祖父母と同居で、母親は働いていました。
そのために子育ては、ほとんどが祖母の仕事でした。
祖母は長男ということもあり、猫かわいがりと言われるほどに沸愛しました。
母も溺愛を心配していましたが、自分が働いているために気兼ねがあり、祖母にやり方を変えてとは言えませんでした。
母親はこのことを悔やみ
「息子がわがままになったのは、自分が責任を持って子どもを育てなかったからだ」
と言うのです。
世間では子どもが問題を起こすと、親がしっかりした子育てをしていないからと非難することがあります。
しかし子育ての失敗は、親の責任なのでしょうか。
私のいままでの経験では、親に責任のある子育ての失敗など見たことがありません。
もちろん子どもはいろいろの問題を起こします。
しかしどんな親でも、我が子が問題を起こすことを願って、育てているなどということはありません。
上手な子育ての方法を知らなかったために、結果として子どもが問題を引き起こしたのです。
結果的に失敗したからといって、その親を責めることはいかがなものでしょうか。
子育てによって、親も成長する
子育ては親が絶対的なものであり、未熟な子どもが親によって育てられ、子どもは親の影響によって変わっていくというものではないのです。
影響は相互にしているのです。
愛情というものも、相互の関係のなかで育っていくものです。
よく子どもにとって愛情は最も大切なものであると言われます。
子どもに愛情を持って接しなさいと。
しかし愛情とは子どもとの相互の関係のなかで、芽生えてくるものではないでしょうか。
子育てとは、子どもと親との関係のなかで育っていくものではないでしょうか。
子どもだけが成長していくのではないのです。
親もまた、子育てを通して子どもから学び、成長しているのです。
すなわち共に成長しているのです。
親の成長がなくては、子どもの成長もありません。
二人が成長できるそんな子育てが大切なのです。
子育てをすると、親はどんな成長をするのでしょうか。
情緒的にもたくさんの喜びを子どもから与えられます。
子どもの微笑一つで親は幸せを感じます。
この喜びはその人を豊かにします。
子育ての方法、言いかえれば子どもとの付き合い方をいろいろ具体的に学びます。
これは親の知恵と呼ばれるものになります。
そしてこれは親子のなかだけでなく、すべての人との付き合いのなかでも、お母さんに役立つ知恵になります。
和美(仮名)ちゃんのお母さんはあまり人付き合いが好きではありませんでした。
一人で読書したり音楽を聴いたりするのが好きだったのです。
和美ちゃんが小学三年のときに不登校になりました。
お母さんはどうにかしなければと必死になりました。
不登校のお母さん達のグループに参加してみました。
そしてお互いが助け合っていることを体験し、お母さんもそのグループでみんなと力を合わせるようになっていきました。
お母さん自身も社会への関心がどんどん増えていきました。
学校の先生の前でほとんど意見も一言わなかったお母さんが半年後には自分の希望をしっかりと言えるようになりました。
不登校の子どものグループにも子どもを連れていくようになりました。
どんどん子どもも活動的になったのです。
「子どもが不登校になったのはつらかったけれども、自分にとって役に立つことがたくさんあった。
みんなが力を合わせることが大切だということを身にしみてわかった。
いまでは和美に感謝している」
とお母さんは言っていました。
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