子どもの性格は育て方だけでは決まらない
今まで、子どもの性格は、母親の育て方で決まってくるといわれ続けてきました。
しかし、最近の研究からは、性格の半分以上は遺伝子で決まるということがわかっているのです。
性格が遺伝に影響されていることが認識されるようになったのはされるようになったのは、1970年代後半のことです。
きっかけとなったのは、一卵性双生児はたとえ別々の場所、違った環境で育てられたとしても、その好みや行動が驚くほど似ている、ということがマスコミなどで報じられたことでした。
たとえば、ある二卵性双生児は、生まれてすぐに離れ離れになり、ひとりはチェコスロバキアでナチスに入り、もうひとりはトリニダードでユダヤ人として育てられていました。
このふたりが再会したとき、なんとふたりとも同じタイプのシャツを着ていたのです。
また、トイレを使用する前後に水を流したり、エレベーターに乗ると突然くしゃみをするというクセも同じだったそうです。
一卵性双生児は同じ卵子と精子から生まれるので、基本的に同じ遺伝子をもっています。
それぞれまったく違う環境で育ったのに、このように行動が一致するということは、遺伝の影響が大きいのではないか、そう考えられるようになったわけです。
しかし、ほんの1、2組の双生児が似ているからといっても、それだけで遺伝との関係を決定づけることはできません。
そこで、今度は米国ミネソタ州立大学のブシャードを中心とする研究グループが、別々の環境で育てられた一卵性双生児をたくさん集め、調査研究を行いました。
その結果、やはり一卵性双生児は別々に育てられても知的能力や性格、職業選択、余暇の過ごし方、社会的な態度にいたるまでが一致していることが多く、
性格の特性の半分以上が遺伝的な支配を受けていることがあきらかになったのです。
ただし、誤解のないようにいっておきますが、性格は遺伝に支配されているといっても、人間の価値や生き方が生まれつき決まっているというわけではありません。
ひとつひとつの能力や感情の動き、身体状態や身体の疾患に遺伝的な影響があるというだけであって、遺伝が人間の価値を決めるわけではありません。
性格が遺伝に強く影響されることがいえるかもしれませんが、同時に、自分が選んだ目標に向かって行動する傾向(自己志向性)や、思いやりや気配りをする傾向(協調性)は、環境の影響も受けていることがわかりました。
というと、みなさんから「遺伝だけじゃなくて環境も影響するのなら、やっぱり子どもにとって身近な存在の母親の影響が大きいんじゃないの?」という指摘を受けそうですが、でも、早合点しないでください。
子どもにとっての環境は母親がすべてではありません。
幼稚園や学校、そこで出あう友だちなど、いろいろな出会いがあります。
さきほども触れた双生児研究からは、母親がつくり出す環境よりも、こうしたいろいろな出あいのほうが、ずっと大きな影響を性格形成に与えるという結果が、一貫して得られています。
つまり、お母さんの性格や育て方が悪いから子どもが「イケナイ子」になってしまうわけではないのです。
もちろん、人の性格に「よい」「悪い」はありません。
コインの裏表と同じです。
コインには最初から裏表があるわけではありません。
この絵柄を表としようと決めたから、その反対側が裏になっているだけです。
性格もそれと同じです。
どこをどうみるかによって裏になったり、表になったりします。
内向的で臆病な性格は、一見するとよくないもののように思えたりするものですが、その一方では慎重で手堅いことが評価される場面はいくらだってあります。
また、明るくて積極的な性格は誰もがうらやむものですが、そんな人も��つい�′�こうみずな行動をとって周囲に迷惑をかけてしまうことだってあるのです。
ときどき「自分の性格を変えたい」とおっしゃる方がいます。
内向的な性格が原因で自分は「うつ」になってしまったんだということで、その悪い性格を変えたいというのです。
自分の性格を受け入れることをせず、変えようとしたり、周囲と無理に歩調を合わせようとすると、苦しくなってしまいます。
親子関係でも同じです。
母親がそのような態度をとり、自分の子どもにも同じことを強要すれば、親子でつらくなってしまいます。
性格を変えるのではなく、性格のいい面をうまく生かす生き方をすることが重要なのです。
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