中学生には職業選択はまだむずかしい
「どこの高校でもいいから行かせたい」という親や、「勉強は好きではないが、高校には行きたい」という子どもがいても無理はありません。
そもそも十四や十五の年齢で、一生の行き方を左右する職業の選択を迫られるというところに問題があります。
自分の希望で職業を選んだ場合はともかく、経済的な事情や成績で進学をあきらめざるをえなくなった子どもに、一生を左右する職業を選べというのは気の毒な話です。
中卒で就職に就いた昔とは、事情が違います。
社会の工業化がいちだんと進み、職種は多様化しましたが、社会的な視野の狭い中学生では、自分の知る職業の範囲にも限度があります。
また、中学生ぐらいで自己の能力、適性を見きわめることはむずかしいことです。
就職希望者には、職業安定所で「職業適性検査」などである程度の診断はしてくれますが、
おおまかな職業の分野の適性は示してくれるものの、これで実際に自分に適した職業受験体制と学習が見つかるわけではありません。
ですから、どんな職業に就くかという決定は、もう少し勉強して、社会的な視野を広げ、自分を見つめる目を育ててからにしたほうがよいというのは当然です。
そればかりではありません。
科学技術など、社会の進歩発展はめざましく、ロボットが人間の代わりに働き、そのロボットをロボットがつくるという時代です。
このような時代を生き、さらにこのような科学技術の進歩が万人の幸せのために役立つような社会を建設するためにも、今日の高等学校程度の学習内容は、だれもが身につけなければならない基礎的な学力です。
そういう意味で、高校教育は、今や国民のための普通教育だといっていいと思います。
だからといって、現在の学校制度のもとで、なにがなんでも高校に進学させるという考えに賛成するものではありません。
勉強しに行くのだというはっきりとした自覚を持たずに、みんなが行くから行くというような考え方には反対です。
たとえ中学での成績は悪くても、高校でさらに進んだ内容を学びに行くのだという目的意識を持つことが大切です。
高校は学ぶ意志のある者だけが行くところであることを、子どもにしっかり教える必要があります。
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