子供がしゃべり始める時期
十ヶ月もすぎるころから、たいていの子が自分の名前を呼ばれると振り向くようになります。
「いけません」といわれれば、一瞬でもやめようとするでしょう。
「ちょうだい」といわれれば手にもっているものを渡そうとするかもしれません。
また、自分のほうから「マンマ」といって食事の催促をしたり、「イヤイヤ」といって逃げ出したりする子もでてきます。
こうして赤ちゃんはことばをマスターしていくわけですが、赤ちゃんがことばを理解するようすをみていると、意味を知ってというより、経験上感じを覚えるといったふうなのです。
赤ちゃんの了解することばも、おとなと同じというわけではなさそう。
「ワンワン」ということばでも、ネコやトリまで意味していることはめずらしくありません。
こうしたずれは、なにも性急に改めさせようとする必要はありません。
別にあせらなくても、いっしょに暮らしている以上、いつの間にかちぢまってゆくはず。
赤ちゃんがネコを見て「ワンワン」といえば、たいていのおとなは「ニャンニャンね」とさりげなく訂正のことばを発するでしょう。
それを赤ちゃんはまねして「ニャンニャン」といってみる。
このときは、おとなだって赤ちゃんことばを使っていて、双方から歩み寄っているわけです。
このような歩み寄りが成立する背景には、赤ちゃんとおとなとのあいだに心情面での結びつきがしっかりあるにちがいありません。
ようするに、ことばが通じ合い、さらにお話しに発展するのには、生活をともにし、心が結び合っていることが大切なのです。
このようにみてくると、しゃべりはじめるのが早いかおそいかはひとつも問題になりません。
しゃべりはじめは子どもによって大きな開きがあって、ふつうはお誕生でひとつかふたつのことば、
早い子だと十ヶ月で、おそい子は二歳近くになっても「ア、ア」くらいしかしゃべらない子もいます。
でも、こちらのいうことがわかっていれば、心は通いあっているし、言語の概念も頭の中でできているのです。
そういう子はきっと、たくさんのことばを、それも豊かな文章として頭の中に蓄えつづけているのです。
だから、やっとしゃべりはじめたと思ったら、せきを切ったように話し出すことがあるのでしょう。
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