人としての根っこをつくる家族関係とは
一般的には子どもは家族の中に生まれそして育てられます。
今は家族の形も多様になって、構成員は少なくなっています。
三世代で暮らす大家族が減って核家族が増加、一人っ子も増えて、その親と、あるいは親と少ないきょうだいとの核家族で育つ子どもが多くなっています。
祖父母と会う機会も少なく高齢者になじみにくい子どもがいたり、身近に肉親の死に遭遇することもまれになったりしています。
幼い命や赤ちゃんにふれる機会も少なく育ち、赤ちゃんを抱くのは自分が産んだ子どもが初めてという親も、珍しくなくなってきました。
子どもは育つ過程で、たくさんの人にふれ、見守られて育つことが望まれます。
親子の絆をしっかりとつくっておくことは大切ですが、それは親子が密着していたり人々から孤立したりしていてよいということではありません。
子どもが家族の中で安定した関係と居場所をもっていることは、育っていくうえでの安心の基盤となります。
子どもは家族の中で人との関係を学び、価値観、ものの見方などを身につけていきます。
子どもにとって初めての環境、それは家族であって、そのありようが人としての根っこをつくっていく役割をはたします。
親は子どもを産み育て、子どもにとって最初の先生であり、一生の間、子どもに影響を与え続ける存在なのかもしれません。
しかし、子どもの側にも生まれつきの気質というものがあってそれが親に影響を与えることももちろんあります。
上の子がおっとりした子になりやすいのは、親の注目と十分な世話を受けやすいからで、下の子は逆におっとりしていては十分構ってもらえず、注目を得る必要からも自己主張が強くなると考えられます。
また、親にそのつもりはなくても、子どもの反応によってそれぞれの子どもへの接し方が違ってしまうことがあります。
親子関係も相互の人間関係ですから、子どもによってそれぞれ独自な関係ができてしまうのです。
親には、子どもを産むことでなるわけですが、親になるまでにはさまざまな過程があります。
父(母)親となる相手との関係、子どもを産むことを望んでいたのかどうか、生まれた子どもの性別への期待などが、生まれてきた子どもへの姿勢を決めることもあります。
その前に親になる人自身のありよう、自分を好きで肯定できているか、自分のことを理解できているか、成熟した大人になっているかなどは、親になるための大切な条件であると思います。
親であることは、自分という全存在で子どもと向き合うこと、子育てには生身でかかわることが求められます。
親自身について考える作業も、親との相談の中では必要になってくるでしょう。
子どものもう一方の親、パートナーとの関係はどうでしょうか。
パートナー選びには実は自分自身の親との関係がかかわっていることが多いものです。
父と母の関係は自分の夫婦関係のモデルとなりますし、反面教師として逆のタイプの人を選ぶ場合もあります。
理想的と思った相手でもお互いに違った育ちをしているのですから、まったく同じではないし、思い通りになるということもないでしょう。
違った者同士が理解し合い、折り合いをつけて、子どもを愛し、協力して子育てができれば子どもにとっても幸せなことでしょう。
しかし、小さな対立が重なって両親の間に破局を迎えることもまれではなくなりました。
そんなパートナー間の関係が直接、あるいは間接的に子どもに影響することはいうまでもありません。
こうした危悦が感じられる場合、個人的なことではありますが、両親の状況にも注意を向け、家庭への配慮や支援をしていくことも保育の場に求められているのではないでしょうか。
ことに父親にとって、子育て参加が難しい働き方が一般化して、母親に全ての負担がかかっている家庭も多いのですが、
子どもと両親間にバランスのとれた親子関係をつくっていくためにも、父親への働きかけにも工夫が望まれます。
親自身の親との関係ですが、実は子育てに深い関係があります。
親になっていながら、自分の親の娘や息子でいる状態から抜けられない、自立できないでいる人が少なくありません。
祖父母が、親になった娘や息子をいつまでも子どもとして束縛したり介入したりする場合も多く見られます。
このことに気づかない人も多いのですが、気づいた人はたいへん悩みますし、そこから抜け出すにも相当な努力を要します。
親子の関係は一生のものですが、子どもが成長するにつれてその自立を認め、尊重する関係でいたいものです。
子どもも反抗期を経て自立に向けて歩んでいく必要があります。
親になる前に一個の自立した人間になっていることが大切なのです。
「子どもとの関係」をテーマに友人たちと話し合ったことがありました。
自分の親との関係を子どもとの関係に引き継がないようにするにはどうしたらよいか、ということが話題になりました。
今から子どもとの距離を考えておきたいという話も出ました。
自分と母親との関係をどう断ち切るか、ということを真剣に話し合ったこともあります。
娘としては親を否定しなければならないつらいことです。
しかしそれをしないと親としてやっていくことが困難なのです。
そんな思いを抱えている親もいます。
親との相談には、背景にこんなこともあることを理解していただければと思います。
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